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「NO DIRECTION HOME」(2005)

「Like a Rolling Stone」(1965)の歌詞の一節からタイトルがとられた、ボブ・ディランの前半生の伝記映画。

ファンがフォーク・ロックを望むなかエレクトリックなロックを演奏しはじめる。観客からはブーイングが起こる。でも当の本人はおかまいなし。それどころか、「大きい音でやろう!」とバック・バンドのメンバーに言い放ち、はじめる。
保守的なグループに教祖扱いされても自身がその中心に立つことはしない。デビュ当時からプロテストソングをつくりつづけるが、作風は大きく変わっていく。過去にしがみつくファンを横目に、ディランは変わりつづける。
アレン・ギンズバーグをはじめとするビートニクとの邂逅や、ビートルズやローリング・ストーンズといったイギリスの同業者との交流によっても、互いに影響しあっていく。
元来アーティストとはファンの顔色をみて演じるパフォーマではない。ましてや、マーケティングによってつくりだされる偶像でもない。

記者たちを小ばかにした記者会見のやり取りがおもしろい。どうやら芸能記者とは、国が違えど、時代が変われど間抜けな生物らしい。



劇中、ある週のビルボードが映し出される。
1位「HELP!」(ビートルズ,1965)、2位「Like a Rolling Stone」、3位「California Girls」(ビーチ・ボーイズ,1965)。
すごい週である。

どの曲も彼らを代表する名曲である。また同時にアイドル的な時期の終焉を象徴する楽曲でもある。
「HELP!」は同名映画の主題歌であるが、当時のビートルズ人気の異常なまでの過熱さぶりから助けを求めるジョン・レノンの叫びだといわれている。明るい楽曲であるにも関わらず歌詞はしんらつだ。
対して、「California Girls」は歌詞こそ従来からの"ビーチ・ボーイズ"だが、サウンドは『Pet Sounds』(1966)を予言するものがある。「California Girls」が収録された『Summer Days (and Summer Nights!!)』(1965)の次作『Beach Boys' Party!』(1965)はボブ・ディランやビートルズなどのカヴァー曲が中心のアルバムだが、その次のアルバムが『Pet Sounds』である。

ジョン・レノン、ボブ・ディラン、ブライアン・ウィルソンの3人は、意識のありなしに関わらず、「Like a Rolling Stone」以後も互いに影響しあっていくことになる。

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