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2010年11月27日

「夜はやさし」(スコット・フィッツジェラルド,1934,1989)

この前古本屋で見つけて買っておいた、F・スコット・フィッツジェラルドの「夜はやさし」を読み終えた。
この「夜はやさし」には2つのヴァージョンがあって、オリジナル版とフィッツジェラルドの死後に彼の指示にしたがって再編されたカウリー版と呼ばれる改訂版がある。いちど発表したあとに作者自らの意思で大幅なストーリーの改版をおこなうことはめずらしいが、これはあまりにもオリジナル版が不評だったことにフィッツジェラルドが悩んだ末に決断したことなのだそうだ(このあたりの経緯は、村上春樹の「ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック」が詳しい)。
それにしても、読み終えるのに約1ヶ月もかかった。時間はとてもあったはずなのに・・・。



もともと文章を読むのに時間がかかるということと、上下巻からなる「夜はやさし」の上巻を読み終えたあとに他の本を何冊か読んでいたことも時間がかかったことの言い訳にあげられる。

上下巻のあいだに読んでいたものは次のとおり。

「アメリカン・サイコ(上巻)」(ブレット・イーストン・エリス)
ジェネレーションXを代表する作家の一人とされるエリスの代表作。サスペンスとかホラーとか官能小説とか、ジャンル分けがしにくい小説。やたらとジャンル分けをしたがるジェネレーションXを皮肉っているかのように。
これもまた上巻でとまってしまっている。

「風立ちぬ」(堀辰雄)
八ヶ岳周辺の雰囲気は好きで、そういうことを思い浮かべながら読んだ。ここ何年か父親が入院している富士山のふもとの病院にもこの小説に出てくる病院周辺と共通する雰囲気があるためか、なぜだか親近感がある。
固有名詞や登場人物が多いジェネレーションXな小説を読んだあとだと、このミニマムな登場人物しか出てこない物語はとても新鮮。

「動物農場」(ジョージ・オーウェル)
農場から自分たちをいいようにこき使う人間たちを追い出して、豚をリーダーとした社会を築きあげるところからはじまる物語。旧ソ連のスターリン体制を皮肉った寓話とされている(続編とされる「一九八四年」は、その革命が失敗に終わったあとの世界を描くディストピア小説)。
おもしろいのは、この物語の構図がなにも共産主義や全体主義に対してだけ当てはまるとというわけではないこと。民主主義とか自由主義とかいわれているような世界でも同じようなことが起きている。
ネットの世界なんて顕著な例で、誰かがどこかで情報を操作している、まさに全体主義の極致なんじゃないかとさえ思えてくる。

「ベンジャミン・バトン」(F・スコット・フィッツジェラルド)
1、2年前にブラッド・ピット主演で映画化された際に相次いで2種類の日本語訳が発表された。そのうちのひとつは発売後すぐに購入して読んでいたが、もう一方のほうも買って読んでみた。
まぁ、訳者が違うからといって内容はたいして変わるはずもなく、今回読んだほうには他にも日本語訳が未発表だったものも含む短編が何篇か収録されていて、それ目当てで買ったようなものだ。
これだけメジャーな作家の作品なのにこれまで表に出てこなかっただけのことはあって、おもしろくないものもあった。そんななかでも、「最後の美女」の、読んだあとにおそってくる虚無感はいかにもフィッツジェラルドならではのものだと思った。

あとは新書も何冊か読んだ。

さて、「夜はやさし」の話だった。
昭和35年に翻訳されて、いちど廃刊になったものの、平成元年に限定復刻版として出たものを読んだので、日本語からして古くて少々読みにくかった。近年、新訳も出たそうなのでそっちを読むべきだったかな。
前半こそ華やかな雰囲気ではじまるのにそれ以降はなにひとつ成功しないし最後にはなにも残らないという転落の物語も、フィッツジェラルドの自伝的小説といわれているだけあって妙に説得力がある。普通なら後悔しても良いようなことも決してそうはいわない(物語の登場人物にいわせない)。自分がもうすでにすべて失っていることに気づきながらも、できるだけまわりの人を傷つけずに、自分からフェード・アウトしていく様は「グレート・ギャツビー」にも似ている。フィッツジェラルドの小説全般にいえる感覚なのだろう。

それから、村上春樹の「ノルウェイの森」がこの作品を下敷きにしていることがよくわかった。登場人物やストーリーの展開といったプロットがほぼ同じだ。とてもこの作品に思い入れがあることがうかがえる。
村上春樹はフィッツジェラルドを何篇も翻訳しているし、ぜひ「夜はやさし」も翻訳してほしい。

2010年11月07日

平作川クリーン大作戦 2010 秋

ことしも流域の学校の児童や学生やその家族や引率の先生、地元の商店や企業の方々が多く参加された。
良いことではないが、成果も多かった。

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